音楽を言葉にすると

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この絵、何に見えますか?

私は向かい合う男女に見えて、「叶わぬ恋」とタイトルを付けてみました。
作者が何を思って描いたか等の研究的な視点で作品を観ることを一旦置いて、まずは自分なりの解釈をして、周囲と対話しながらその作品を鑑賞する「対話型鑑賞」というものがあります。
ニューヨーク近代美術館で開発された鑑賞法、VTS(Visual Thinking Strategies)。

2020年に初めて対話型鑑賞の講義を受け、音楽の分野でこれを取り入れることはできないだろうかとふつふつしながら丸2年…

先日10月16日に演奏者側として、対話型鑑賞のワークショップに携わらせて頂きました!

今回は養育里親・特別養子縁組のご家庭を対象に、小さな子供から大人の方まで様々な年齢の方が参加してくださいました。

主催のCOCO PORTAさんが当日の様子をnoteにまとめてくださったのでご覧ください!

音楽×アート ワークショップ実践レポート|COCO PORTA
10月16日(日)に 養育里親・特別養子縁組家庭対象ワークショップ きいて・感じて・伝えあおう!を実施しました。 今回のワークショップは NPO法人パフォーマンスバンクの飯島広介さん MUSEUM de SESSIONの高橋直子さんに ご協力いただき実現したワークショップ。 音楽の生演奏と対話を通じたワークショップを組...

ワークショップのメイン題材として選んだのはシューマンの《楽しき農夫》《トロイメライ》《謝肉祭》。音楽は美術と違って目に見えず時間と共に流れてしまうので、対話型鑑賞の題材選びは重要。あえて同じ作曲家の全く違う雰囲気の作品で、題名が付きつつも様々な解釈がしやすい3つを選びました。シューマン作品の独特な世界観にどんな反応がもらえるのかなとワクワクドキドキ!

「紫色の鎧を纏っていた心がどんどんとほぐれて、柔らかなピンクの心に変わっていく感じ」と色を交えて話して下さる方や「馬もいる!へびもいる!うさちゃんもいる!」と紙を切り抜いて感じたことを表現してくれる子供たちも。

同じ作品を聴いているのに人によって捉え方が全く違く、芸術に「正しい・間違い」はないと改めて実感。そして、私が演奏したものを自分の言葉や手を使って表現してくれている姿に感動しました。

ワークショップ後にはミニコンサートも(トランペットの渡邊さんとピアノの安部さん)

芸術の世界を難しく捉えず、自分の思うままに感じて受け止めてほしい。
美術館や演奏会に行ったら、歴史や技法なんかはまず考えずに、そこにある作品が生きている姿を感じてみてほしい。
そして何かしらの感動や違和感や疑問を感じた時、そこから作品との深い対話が始まっていくのだと思います。