モーツァルトの転換期

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2月13日(日)に宮城野区文化センターパトナホールにて、仙台フィルハーモニー管弦楽団メンバーの皆さんとモーツァルトのピアノ協奏曲第14番変ホ長調 K449を演奏しました。

この演奏会は今年6月に開催される仙台国際音楽コンクール(https://simc.jp/)の関連イベントで、昨年9月にソリストオーディションがあり、その中から選ばれた演奏者が出演できるというもの。

ピアノ部門の課題曲は
ハイドン:ピアノ協奏曲 ニ長調 Hob. XVIII:11
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第 8 ・11・12・13・14番の中から。

モーツァルトのピアノ協奏曲は特に20番台の演奏機会が多く、仙台国際でも15番以降の作品が課題曲として設けられています。私自身も20番(ニ短調)と23番(変イ長調)は勉強したことがあったものの、10番台は初めてでした。


この時期のモーツァルトはフリーランスとして独立し、ウィーンで精力的に活動していました。演奏会には引っ張りだこのうえ、「午前はレッスンで歩き回り、作曲をする時間は夜しかない」と述べるほど忙しい日々を送っていたことが分かります。そのような中、14番を作曲した1784年には「自作品目録」を作成。(大英博物館所蔵:http://www.bl.uk/onlinegallery/ttp/mozart/accessible/introduction.html#content

14番のピアノ協奏曲を第1号に記し、父親には「楽譜を写譜屋に見せないで」と再三求め、自作品を管理するようになります。

オーストリアが著作権法制定に向けてちょうど動いていたこと、そして、モーツァルトが自作品で利益を得るビジネスを始めるという点で、この年は大きな転換期だったのだと思います。

そんな14番の協奏曲は弦4部(Vn.Va.Vc.Cb.)で書かれ、任意でオーボエとホルンが加わるという編成。モーツァルト自身が「これはまったく特別な種類の協奏曲で、大編成よりは小編成のオーケストラのために書いたものです。」と述べています。

確かにこの作品、トリルがとても多いのです。これを大編成で合わせるとなると結構至難の業。

今回弦のみの編成で演奏し、そのバランスの良さに納得でした。

一方で仙台フィルメンバーからは「オペラみたいだ…!」という意見も。

小編成と大編成のいいとこ取りは10番台の協奏曲ならではなのかもしれません。

コンパクトでありながらピアニストの腕が光る場面や、晩年を思わせるような叙情的な場面が散りばめられた内容大充実の作品です。弾かれる機会こそ少ないものの、是非聴いてみてもらいたい作品。

演奏会にお越しいただきましたみなさま、誠にありがとうございました!